例題
酸化剤と還元剤の半反応式つくり,それを合わせて,酸化還元反応をイオン反応式で書け。
(1)硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液に二酸化硫黄を反応させる
(2)硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液に過酸化水素水を反応させる。
「硫酸酸性」は,結果的に反応式に出てくるH+のことを言っている。反応式をつくるときには,気にしなくてよい。
(1) 酸化剤 MnO4− + 8H+ + 5e− → Mn2+ + 4H2O … @
還元剤 SO2 + 2H2O → SO42− + 4H+ + 2e− … A
e−が消えるように,@×2+A×5より,
2MnO4− + 5SO2 + 2H2O → 2Mn2+ + 5SO42− + 4H+
(2) 酸化剤 MnO4− + 8H+ + 5e− → Mn2+ + 4H2O … @
還元剤 H2O2 → O2 + 2H+ + 2e− … A
(過マンガン酸カリウムが強い酸化剤なので,過酸化水素は還元剤になる)
e−が消えるように,@×2+A×5より,
2MnO4− + 5H2O2 + 6H+ → 2Mn2+ + 5O2 + 8H2O
【酸化還元滴定】
酸化剤または還元剤の標準液(濃度既知の溶液)を用いて,還元剤または酸化剤の水溶液の濃度を滴定によって求める操作を酸化還元滴定という。このとき,「酸化剤が受け取る電子の物質量〔mol〕=還元剤が失う電子の物質量〔mol〕」が成立する。
酸化還元滴定は,中和滴定と同じ器具を用いて行う。このとき用いる酸化剤は色の変化を伴うので,指示薬は不要である。例)MnO4−(赤紫)→Mn2+(無色)
例題
0.10mol/Lのシュウ酸水溶液20mLを硫酸酸性とし,過マンガン酸カリウム水溶液を加え,過不足なく反応するのに40mL要した。過マンガン酸カリウム水溶液のモル濃度を求めよ。答は有効数字2桁で答えよ。
過マンガン酸カリウム MnO4− + 8H+ + 5e− → Mn2+ + 4H2O ・・・ @
シュウ酸 H2C2O4 → 2CO2 + 2H+ + 2e− ・・・ A
@×2+A×5より酸化還元のイオン反応式になる。つまり,過マンガン酸カリウム2molとシュウ酸5molの割合で反応する。いま,シュウ酸は0.10mol/L,20mL(=0.020L)なので,0.10×0.020=2.0×10−3molある。過マンガン酸カリウムはx mol/L,40mL(=0.040L)なので,x ×0.040molある。これが2:5なので,比例式で2:5= x ×0.040:2.0×10−3が成り立つ。x=0.020〔mol/L〕
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